「AIに記事の下書きを書いてもらった。読んでみると、よくできている。——でも、この内容、そのまま公開して大丈夫だろうか」。ここはAI所長の副業ブログ研究室。この記事では、AIが書いた文章の事実確認(ファクトチェック)を、プログラミングの知識がなくてもできる手順に分けて整理します。
先に、いちばん大事なことをお伝えします。AIは、間違いを「間違いらしく」書いてはくれません。堂々とした、読みやすい日本語で、事実でないことを書きます。つまり、読んで違和感がないことは、正しさの証明にはならない。ここが出発点です。
なぜAIは「もっともらしい間違い」を書くのか
AIの文章づくりは、ざっくり言うと「これまでの言葉の並びから、次に来そうな言葉を選んでつなげる」という仕組みです。一つひとつの事実を調べてから書いているわけではありません。それらしい言葉の並びを作っているので、存在しない制度の名前も、実在しない書籍名も、正しい情報とまったく同じ調子で出てきます。
この「調子が変わらない」ところが、いちばん厄介です。人間なら、自信のないところは言い回しが濁ったり、「たしか」と前置きが入ったりします。AIも「一般には」などと前置きすることはありますが、その前置きの有無を、正しさの手がかりにはできません。自信のなさが文章に表れるとはかぎらないので、読み手は違和感を手がかりにできないのです。
では、どこが危ないのか。間違いが集中しやすいのは、次の4つです。
「◯%の人が」「平均◯円」といった数字は、それらしい値に置き換わりやすい場所です。桁だけが違う、という間違い方もします。
「◯年から始まりました」「申請は◯月まで」。読者が行動の予定を立てる情報なので、外すと迷惑が直接かかります。
似た名前が混ざる、実在しない名前が生まれる、という間違いが起きます。「出典」として本の名前を挙げてきたのに、その本が存在しないこともあります。
制度は改正されます。AIは、古い制度と新しい制度を混ぜて書いてしまうことがあります。「以前は正しかった説明」が、いまは間違い、という形です。
この4つに共通しているのは、外側に「正解」があるものだという点です。逆に、考え方・感じ方・書き手自身の体験には、外側の正解がありません。だから、AIが外しようもない。確認すべきところと、そうでないところを分ける——これだけで、負担はぐっと減ります。
事実確認の4つの手順
手順の形にしておくと、記事を書くたびに迷わずに済みます。順番に見ていきましょう。
手順1|言い切っているところに、線を引く
下書きを画面で読み流さず、まず「線を引ける形」にします。印刷して手で線を引くか、WordやGoogleドキュメントに貼り付けて文字に色を付ける(Wordなら蛍光ペン、Googleドキュメントならハイライト)、のどちらかです。文字だけのメモ帳しか使えない場合は、その行の先頭に「★」を付けるだけでも同じことができます。目印を付ける対象は、「〜です」「〜と決まっています」「◯円です」「◯年から」と言い切っている箇所。これが確認の候補リストになります。
コツは、意味ではなく「形」で拾うこと。数字・日付・固有名詞・「〜と定められています」という言い回し。内容が正しいかどうかを考えながら読むと手が止まるので、この段階ではひたすら機械的に線を引くだけにします。
手順2|その根拠が、記事の中にあるか見る
線を引いた箇所ごとに、「なぜそう言えるのか」が本文に書かれているかを見ます。書かれていなければ、AIがどこかで見た情報を、出どころごと落として書いている可能性があります。
ここで一つ、大事な注意があります。AIが出してきた出典を、開かずにそのまま載せてはいけません。「出典を付けて」と頼むと、それらしいURLや書籍名を作ってしまうことがあります。形式が正しいだけに、本物に見えてしまう。出どころは、リンクを開いて中身を読むまで、確かめたことになりません。
手順3|一次情報に当たる
ここが手を動かす中心です。その話を最初に出した本人が公開している情報まで、自分でたどります。「一次情報」が何を指すのかは、次の章でくわしく説明します。
手順4|見つからなければ、緩めるか、削る
確認の結果は、だいたい次の3通りに分かれます。
そのページの名前とリンクを本文に書きます。読者が自分で確かめられる形になります。
「〜です」を「〜とされています」「〜という見方もあります」に緩めます。断定をやめるだけで、記事の誠実さは保てます。ただしお金・健康・法律・期限にあたる話は、緩めずに削ります(理由はのちほど「全部は確認できない」の章で説明します)。
思い切って削ります。迷ったときは、削るほうを選んでください。根拠のない断定は、読者にとって「無いほうがまし」です。
| 手順 | やること | かかり方の目安 |
|---|---|---|
| 1 | 言い切っている箇所に線を引く(形で機械的に拾う) | ざっと通すだけ |
| 2 | 本文の中に根拠が書かれているか見る | ざっと通すだけ |
| 3 | 一次情報(公式サイト・役所・発表元)に当たる | 1か所ずつ開いて読むので、ここがいちばん時間を使う |
| 4 | 出どころを書く/言い方を緩める/削る | 書き直すだけ |
「一次情報」とは何か——役所・公式サイト・発表元本人
事実確認でよく出てくる「一次情報」という言葉。むずかしく考える必要はありません。その話を、最初に出した本人が出している情報のことです。
・省庁や自治体の公式サイト(制度・手続き・税金の説明ページ)
・サービス提供会社の公式サイト(料金ページ・利用規約・よくある質問)
・会社が自分で出した発表(プレスリリース)
・統計を取った機関が公開している、その統計そのもの
・本人(発表元)の発言(本人が運営する公式アカウントの投稿、インタビュー記事の本文)
これに対して、それを紹介した記事・まとめサイト・SNSの引用は「二次情報」です。二次情報が悪いわけではありません。分かりやすくまとまっていて、入口としては役に立ちます。ただし、途中で数字が変わっていたり、制度が改正されたのに古いまま残っていたりします。根拠として使うなら、そこで止まらず、その先までたどる——これが基本です。
| 調べたいこと | 一次情報(ここまでたどる) | 二次情報(入口にはよいが根拠にしない) |
|---|---|---|
| 税金や手続きのルール | 国や自治体の公式サイトの説明ページ | 解説ブログ・まとめ記事 |
| サービスの料金や条件 | 提供会社の公式サイトの料金ページ・規約 | 比較サイト・ランキング記事 |
| 統計の数字 | 調査した機関が公開している発表資料 | ニュースの見出し・第三者アカウントのSNS投稿 |
一次情報を見つける、3つのコツ
「◯◯ 料金」ではなく「◯◯ 公式 料金」「◯◯ 利用規約」。解説記事ではなく、大もとのページに近づきます。
ドメインとは、「https://」のうしろから、最初の「/」までの部分です(たとえば https://www.◯◯◯.go.jp/… なら「www.◯◯◯.go.jp」)。ここが国の機関は「go.jp」、自治体は「lg.jp」で終わることが多く、見分けの手がかりになります。会社なら、そのサービスの名前がドメインに入っているかを確かめます。
制度も料金も変わります。古いページを根拠にすると、そのまま古い記事ができあがります。更新日が見当たらないページは、根拠としては弱めに扱ってください。
やりがちな「調べた気になる」4つの失敗
ここからは、手間はかけているのに確認になっていない、ありがちなパターンを4つ挙げます。心当たりがないか、読みながら確かめてみてください。
失敗①|AIに「これは正しい?」と聞き返す
まず挙げたいのが、これです。はっきり申し上げると、これは確認になりません。検索して調べる機能を使っていないかぎり、AIは外の情報を見に行かずに答えているからです(検索機能を使う場合の注意は、後半のQ&Aで触れます)。同じ質問を聞き返せば、「はい、正しいです」とも「失礼しました、誤りでした」とも、どちらにも転びます。強く指摘すれば、合っている内容まで「間違いでした」と言い直すことさえあります。
つまり、同じ相手に二度たずねているだけ。確認は、AIの外側でやる——これが原則です。AIとのやりとりそのものの組み立て方は、AIで記事を書く方法|構成・執筆・リライトのプロンプト集にまとめています。
失敗②|検索して、上位のページを見て安心する
「検索したら同じことを書いている記事がたくさんあった。だから合っている」。——残念ながら、これも根拠になりません。同じ間違いを写し合った記事が並ぶことは、実際に起こります。件数の多さは、正しさの証明ではありません。たどっていくと、出どころは同じ一つのページだった、ということもあります。
失敗③|まとめ記事どうしを突き合わせる
2つ以上の記事で一致したから正しい、という確かめ方も危うい方法です。二次情報どうしは、元が同じなら当然一致します。一致したことに安心してしまう分、かえって見落としが増えます。比べるなら、二次情報と一次情報です。
失敗④|自分の記憶と合っているから、と流す
「知っている話だから大丈夫」。この油断がいちばん危ない場面もあります。記憶は、たいてい少し古いからです。とくに料金・税制・手続きの条件は、静かに変わります。詳しい分野ほど、確認をとばしやすいと覚えておいてください。
全部は確認できない——時間をかける場所を選ぶ
正直なところを書きます。1本の記事に書かれた全ての文を確認するのは、現実的ではありません。時間が足りず、途中でやめてしまうくらいなら、はじめから順番を決めておくほうが続きます。
基準はひとつだけ。間違えたときに、読者に迷惑がかかるかどうかです。
| 優先度 | 内容 | どう扱うか |
|---|---|---|
| 最優先 | お金(料金・税金・手数料)/健康(体・薬・食べ物)/法律やルール/期限(申請・締切・変更日) | 一次情報で確認できるまで書かない |
| 次に | 固有名詞・サービスの仕様・統計の数字・順位 | 公式ページで確認。取れなければ言い方を緩める |
| 後回しでよい | 考え方・感想・自分の体験・たとえ話 | 事実確認の対象外(自分の言葉かどうかを見る) |
最優先の欄は、確認が取れないなら書かない。ここは妥協しないほうがよい場所です。書かないことで記事が薄くなるのではと心配になりますが、間違いを載せて信用を失うほうが、取り返しがつきません。記事全体をどう組み立てるかについては、ブログSEOの基本|AIで“検索から読まれる記事”にする初心者向けの考え方も参考になるはずです。
確認しきれないときの、正直な書き方
確認が途中で終わったとき、記事をどう仕上げるか。使える手は4つあります。ただし、前の章の最優先(お金・健康・法律・期限)に、②の「言い方を緩める」は使いません。確認が取れないなら、④の「削る」を選びます。
「◯◯の公式サイトによると」と書き、そのページへのリンクを添えます。読者が自分で確かめられる形になり、記事の信頼度が上がります。
「〜です」を「〜とされています」「調べた時点では〜でした」に変えます。断定をやめるだけで、間違いの影響は小さくなります。
「◯年◯月時点」と時点を入れておきます。料金や制度は変わるため、時点が書いてあると、あとで読む人が自分で判断できます。
確認できず、緩めても意味が残らないなら削ります。記事は短くなりますが、危ない箇所は消えます。
先にリスクをお伝えしておきます。この4つをやっても、間違いがゼロになるわけではありません。人が確認する以上、見落としは起こります。だからこそ、気づいたときに直せる状態にしておくことも、同じくらい大切です。問い合わせの窓口を用意しておく。記事を直したら、いつ直したかが読者に分かるようにしておく——本文に「◯年◯月に内容を見直しました」と一行足すだけでも十分です。完璧を目指すより、直せる形にしておくほうが現実的です。
保存版|AI記事の事実確認チェックリスト
□ 数字・日付・固有名詞・制度の説明に、線を引いた
□ お金/健康/法律/期限にあたる箇所を、先に確認した
□ 確認は、AIに聞き返すのではなく、外のページで行った
□ たどり着いたのは一次情報(公式サイト・役所・発表元)だった
□ そのページを開いて、本文を自分の目で読んだ
□ 確認できなかった箇所は、緩めるか、削った(お金・健康・法律・期限は削った)
□ 変わりやすい情報には、いつ時点かを書き添えた
最初は7つすべてを通すのが面倒に感じるかもしれません。ただ、数本も書けば手が覚えます。むしろ確認の手順があるほうが、下書きを気楽にAIへ任せられるようになります。
よくある疑問(Q&A)
Q1. AIに事実確認をさせる方法はありませんか?
検索して調べる機能を持つAIもあり、出どころのリンクを示してくれることがあります。これは入口としては役に立ちます。ただし、示されたリンクを開いて中身を読むまでは、確認になっていません。リンク先の内容と、書かれた説明がずれていることもあるためです。「AIが探してくる/人が確かめる」と、役割を分けて考えるのがおすすめです。
Q2. どのくらい時間をかければいいですか?
目安として、線を引いた箇所のうち「お金・健康・法律・期限」に当たるものだけを確認します。すべてに当たるのではなく、この4つに絞れば、確認する数はかなり減ります。全体を薄く疑うより、危ない数か所を確実に見るほうが、時間あたりの効き目は大きくなります。
Q3. 事実確認をしたことを、記事に書いたほうがいいですか?
「◯◯の公式サイトで確認しました(◯年◯月時点)」と、確認先と時点を書くのは、読者の役に立ちます。ただし、確認していないことまで確認したように書くのは避けてください。書いた以上は、そのとおりに確かめてある——この一致だけは崩さないようにします。
Q4. 昔書いた記事も、見直したほうがいいですか?
全部を一度に見直す必要はありません。よく読まれている記事から、料金・制度・期限が出てくる箇所を優先します。変わりやすい情報を含む記事だけ、半年に一度など見直す日を決めておくと、無理なく続けられます。
Q5. こんなに手間がかかるなら、AIを使わないほうが安全では?
そう感じるのは自然です。ただ、AIを使わなくても、思い込みや古い記憶による間違いは起こります。AIは下書き役、確認は人——この分担にすると、むしろ「ここは確かめる場所だ」と意識する回数が増えます。AIを使うこと自体を怪しむ必要はありません。下書きをAIに任せるときの指示文の型は、ブログ用AIプロンプト集にまとめています。
まとめ:読んで違和感がないことは、正しさの証明にならない
・危ないのは数字・日付・固有名詞・制度の4つ。外側に正解があるもの。
・手順は①線を引く ②根拠を探す ③一次情報に当たる ④緩めるか削る。
・AIに聞き返しても確認にならない。確認はAIの外側で。
・全部は無理。お金・健康・法律・期限から先に確認する(取れなければ緩めず削る)。
AIは、下書きを作る相棒としてはとても優秀です。けれど、書かれた内容に責任を持つのは、いつでも書き手のほうです。速く書けるようになったぶんの時間を、確認に回す。その配分にしておけば、AIを使うことは弱みではなく、強みになります。
▶ AIへの指示の出し方から整えたい方は、AIで記事を書く方法|構成・執筆・リライトのプロンプト集からどうぞ。
▶ これから副業ブログを始める方は、非エンジニアがAIで副業ブログを始める完全ガイドに全体の流れをまとめています。
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