副業と就業規則|厚生労働省のガイドラインとモデル就業規則で分かること

副業と就業規則|厚生労働省のガイドラインとモデル就業規則で分かること

会社員が副業ブログを始めるとき、最初に確かめるのは勤務先の就業規則です。では、その就業規則のもとになっている国の考え方は、どうなっているのでしょうか。ここはAI所長の副業ブログ研究室。今回は、厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」と「モデル就業規則」を読み、分かることと分からないことを分けて整理します。

先に要点です。ガイドラインは、企業に対して、原則として副業・兼業を認める方向で検討することを求めています。一方で、働く人に対しては、まず自分の勤め先のルール(労働契約・就業規則など)を確かめるように書いています。モデル就業規則はひな形で、実際に効くのは勤め先の就業規則です。

タカシくん(30代・会社員)

タカシくん(30代・会社員)
所長、国が「副業OK」と言っているなら、会社に聞かなくても大丈夫ですか?
AI所長

AI所長
そこがいちばん誤解しやすいところですね、タカシくん。ガイドラインは、会社がどう対応するのがよいかを示したもので、勤め先の就業規則を上書きするものではありません。だからこそ、国の考え方を知ったうえで、自分の会社の規則を読む——という順番で見ていきます。

匿名で運用するコツや、「なぜ会社に知られることがあるのか」は 会社員が“バレずに”副業ブログを始める方法|就業規則・確定申告・匿名運用の考え方 と ブログ副業は会社にバレる?バレる原因と、バレずに始める方法 にまとめています。このページは、その前提になる公式の資料の読み方です。


「副業・兼業の促進に関するガイドライン」とは

厚生労働省「副業・兼業」 によると、ガイドラインは平成30年1月に、副業・兼業について企業や働く人が現行の法令のもとでどういう事項に留意すべきかをまとめたものとして作られ、令和2年9月(ルールの明確化)と令和4年7月(多様なキャリア形成の促進)に改定されています。

資料 中身
ガイドライン(本文) 副業・兼業の現状、促進の方向性、企業の対応、労働者の対応、労災保険・雇用保険などの制度
リーフレット(労働者の方向け) ガイドラインの要点を1枚にまとめたもの
パンフレット(令和7年3月31日改定版) ガイドラインの解説、モデル就業規則の規定、各種様式例
Q&A ガイドラインを補う質問と答え
届出様式例 企業が、働く人の申告にもとづいて副業・兼業の内容を確かめるときの様式の例

どれも同じページからたどれます。働く人が最初に読むなら、1枚の厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」リーフレット(労働者の方向け・PDF)が手早い入り口です。


ガイドラインが示す、会社が副業を制限できる4つの場合

厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(PDF・令和4年7月改定版) では、副業・兼業に関する裁判例について、労働時間以外の時間をどう使うかは、基本的には労働者の自由であり、企業が制限できるのは、たとえば次の4つに当たる場合と解されている、と書かれています。

制限が認められうる場合 ブログに置きかえて考えると(当研究室の整理)
① 労務提供上の支障がある場合 夜中まで記事を書いて、本業に支障が出る
② 業務上の秘密が漏洩する場合 勤め先の社内の情報や、仕事で知ったことを記事に書く
③ 競業により自社の利益が害される場合 勤め先と競合する商品・サービスを紹介して収益を得る
④ 自社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合 勤め先や取引先を悪く書く

そのうえでガイドラインは、企業の対応として、副業・兼業を禁止や一律の許可制にしている企業に対し、自社の業務に支障をもたらすかを今一度精査し、そのような事情がなければ原則、副業・兼業を認める方向で検討することを求めています。また、副業・兼業に係る相談、自己申告等を行ったことにより不利益な取扱いをすることはできない、とも書かれています。

右の列は、当研究室がブログに当てはめた例えです。実際にどの場合に当たるかは、各企業が判断するものとモデル就業規則の解説に書かれています。

モデル就業規則の「副業・兼業」の規定

厚生労働省「モデル就業規則について」 のページでは、常時10人以上の従業員を使用する使用者は就業規則を作成し、労働基準監督署長に届け出なければならないこと、そしてモデル就業規則の規程例や解説を参考に、各事業場の実情に応じた就業規則を作成するように、と書かれています。

厚生労働省「モデル就業規則」(令和7年12月・全体版PDF) では、第14章「副業・兼業」の第70条が、次の形になっています(要約)。

1項:労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2項:会社は、労働者からの届出にもとづき、その業務に従事することで次のいずれかに当たる場合には、禁止または制限することができる。
 ① 労務提供上の支障がある場合 ② 企業秘密が漏洩する場合
 ③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合 ④ 競業により、企業の利益を害する場合

厚生労働省「副業・兼業」 によると、平成30年1月の改定で、労働者の遵守事項から「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。」という規定が削除され、副業・兼業の規定が新しく設けられました。なお、同じページでは条番号を「第14章第68条」と書いていますが、令和7年12月版のPDFでは第70条になっています。モデル就業規則は版によって条番号が変わるので、引くときは版を確かめます。

モデル就業規則は、あくまでひな形です。解説でも、就業規則の内容は事業場の実態に合ったものにする必要がある、とされています。勤め先の就業規則が「許可制」や「禁止」になっていれば、効くのは勤め先の規則のほうです。

ブログも「副業・兼業」に入るのか

モデル就業規則の第70条の解説には、ここでいう「副業・兼業」には、ほかの会社に雇われる形のものだけでなく、事業主となって行うものや、請負・委託・準委任契約により行うものも含むことに留意が必要、と書かれています。ブログの広告収入のように、雇われずに自分で行うものも、勤め先の規則の「副業・兼業」に入りうる、ということです(当研究室の読み方)。

一方で、ガイドラインの労働時間の通算(本業と副業の労働時間を合わせて管理するしくみ)は、労働基準法が適用されない場合、たとえばフリーランス、独立、起業などには通算されない、とされています。ただしその場合も、過労などで業務に支障が出ないよう、申告などで就業時間を把握し、長時間にならないよう配慮することが望ましい、と書かれています。

雇われて働く副業(アルバイトなど) 雇われずに行う副業(ブログなど)
勤め先の規則の「副業・兼業」に入るか 入る 入りうる(勤め先の規則の書き方で確かめる)
労働時間の通算 対象になる(労働時間の規制が適用される場合) 通算されない(ガイドライン)
それでも求められること 労働時間の申告・健康の管理 長時間にならないよう、自分で時間と健康を管理する

ガイドラインが働く人に求めていること

ガイドラインの「労働者の対応」には、次のことが書かれています(要約)。

・副業・兼業を希望するときも、まず自分が勤めている企業のルール(労働契約、就業規則等)を確認し、そのルールに照らして業務内容や就業時間などが適切な副業・兼業を選ぶ
・労働者と企業の双方が納得感を持って進められるよう、十分にコミュニケーションをとることが重要
・過労で健康を害したり業務に支障を来したりしないよう、自分で業務の量・時間・健康状態を管理する
・勤務時間や健康診断の結果などを記録するツールを使うことが望ましい

厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」リーフレット(労働者の方向け・PDF) でも、まずはお勤めの会社の就業規則などで副業のルールを確認するように、と書かれ、分からないことの問い合わせ先として事業場の所在地を管轄する都道府県労働局や労働基準監督署が挙げられています。

フクさん(50代・会社員)

フクさん(50代・会社員)
「自分で時間と健康を管理する」というのは、ブログでも同じですね。
AI所長

AI所長
はい、フクさん。ブログは労働時間の通算の外でも、夜ふかしが続けば本業に響きます。無理のない書き方の組み立ては ブログが続かない人へ|AIを相棒に習慣化する「挫折しない仕組み」の作り方 にまとめました。

自分の会社の就業規則を読む5つの手順

ここからは、ガイドラインとモデル就業規則をふまえた当研究室の進め方です。

手順1|「副業」「兼業」「他の会社等の業務」の条文を探す

就業規則の目次や、服務規律・遵守事項の章を見ます。モデル就業規則のように独立した章になっていることもあれば、遵守事項の1行になっていることもあります。

手順2|4つの型のどれかを見分ける

型 書き方の例(当研究室の整理) 次にすること
原則できる 勤務時間外に他の業務に従事できる 制限の理由(4つ)に当たらないかを見る
届出制 事前に届け出る 届け出る中身と様式を確かめる
許可制 会社の許可を得る 許可の手続きと、判断の基準を確かめる
禁止・記載なし 他の業務に従事しない/何も書かれていない 人事・総務に確かめる(自己判断しない)

手順3|届出・許可なら、何を伝えるかを確かめる

厚生労働省の届出様式例は、企業が副業・兼業の内容を申告にもとづいて確かめるためのものです。ガイドラインでは、確かめる事項の例として、副業先の事業内容や従事する業務内容が挙げられています。ブログなら、どんなテーマの、どんな収益の形のブログかを説明できるようにしておきます(当研究室の考え方)。

手順4|4つの制限の理由に当たりそうなことがないかを見る

特にブログで気をつけたいのは、②秘密と③競業です。仕事で知ったことを記事にしない、勤め先と競合する商品で収益を得ない——テーマを決める段階で外しておきます。テーマの決め方は 副業ブログを始める前に決める3つ|ジャンル・読者・収益の考え方 を見てください。

手順5|分からないところは、聞く先を決めておく

規則の読み方に迷ったら、勤め先の人事・総務の窓口に確かめます。会社の外に相談したいときは、リーフレットにあるとおり、都道府県労働局や労働基準監督署が窓口です。


AIの使いどころと、任せないほうがよいところ

作業 AIに任せてよいか 理由
ガイドラインの公開資料を、やさしい言葉で要約してもらう 任せてよい 公開されている文書の要約は得意。要約のあとで原文と見比べる
勤め先の就業規則の全文をAIに貼って読んでもらう 先に確かめる 社内の文書を社外のサービスに入力してよいかは、勤め先の情報の扱いのルールしだい
「この副業は就業規則違反になるか」を判断してもらう 任せない 判断するのは勤め先。AIの答えは根拠にならない
届出の文面の下書きを作ってもらう 下書きまで ブログの中身の説明が事実どおりかは、自分で直す

やりがちな失敗、5つ

① 「国が副業を認めている」から、勤め先の規則を読まない
ガイドラインは企業の対応を示したもので、勤め先の規則を上書きしません。

② ブログは雇われる仕事ではないから、副業に入らないと決めつける
モデル就業規則の解説では、事業主となって行うものも副業・兼業に含むとされています。

③ 古い版のモデル就業規則の条番号で話す
版で条番号が変わります。いま読んでいる版を確かめます。

④ 仕事で知ったことを、ネタにする
秘密の漏洩は、制限が認められうる場合の一つです。

⑤ 本業に響くほど夜中に書き続ける
労務提供上の支障も、制限が認められうる場合の一つです。


よくある疑問(Q&A)

Q1. 就業規則に「副業禁止」と書いてあったら、どうすればよいですか?

ガイドラインは、禁止や一律の許可制にしている企業に、業務への支障があるかを精査して、原則として認める方向で検討することを求めています。ただ、それは企業側に向けた内容です。働く人がすることは、規則の文面を確かめ、人事・総務に相談することです。禁止のまま黙って始めることを、当研究室はすすめません。

Q2. 会社に相談したら、不利に扱われませんか?

ガイドラインには、副業・兼業に係る相談、自己申告等を行ったことにより不利益な取扱いをすることはできない、と書かれています。それでも心配なときは、都道府県労働局などの窓口で相談できます。

Q3. ブログの収入が少ないうちは、届け出なくてよいですか?

届出が要るかどうかは、勤め先の規則の書き方で決まり、金額で決まるとはガイドラインには書かれていません。規則に届出の条件があれば、その条件で確かめます。

Q4. 確定申告や住民税のことも、ガイドラインに書いてありますか?

ガイドラインには税の話も一部ありますが、このページでは税金は扱いません。開業の届出や申告の要否は 副業ブログの開業届は必要?|国税庁の案内で確かめる判断の材料と出し方、会社に知られる原因としての住民税の話は 会社員が“バレずに”副業ブログを始める方法|就業規則・確定申告・匿名運用の考え方 を見てください。

Q5. 匿名でブログを書けば、規則は関係ありませんか?

匿名かどうかと、規則を守るかどうかは別の話です。SNSも含めた身元の守り方は 副業ブログでXを使う前に|身バレ・ルール・広告表示で決めておくこと で扱っていますが、どちらも規則の範囲で続けるための工夫です。


まとめ:国の考え方を知り、勤め先の規則で決める

・厚生労働省のガイドラインは、平成30年1月策定、令和2年9月・令和4年7月改定。
・企業に対して、原則として副業・兼業を認める方向で検討することを求めている。
・制限が認められうるのは、本業への支障・秘密の漏洩・競業・名誉や信用の4つの場合。
・モデル就業規則(令和7年12月版は第70条)はひな形。効くのは勤め先の就業規則。
・ブログのように雇われずに行うものも、勤め先の規則の「副業・兼業」に入りうる。
・働く人は、まず勤め先のルールを確認し、時間と健康を自分で管理する。

国の資料を読むと、「何をすると問題になりうるか」の輪郭が見えてきます。その輪郭を手に、勤め先の就業規則の「副業」「兼業」の条文を、一度通して読んでみてください。始める前に整えることの全体は 【2026年最新】非エンジニアがAIで副業ブログを始める完全ガイド にまとめています。

参考(公式の資料):厚生労働省「副業・兼業」/厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(PDF・令和4年7月改定版)/厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」リーフレット(労働者の方向け・PDF)/厚生労働省「モデル就業規則について」/厚生労働省「モデル就業規則」(令和7年12月・全体版PDF)


【免責】本記事は、厚生労働省が公開しているガイドライン・リーフレット・モデル就業規則(2026年10月時点で確認したもの)をもとにした一般的な整理で、法律上の助言ではありません。副業・兼業ができるかどうか、届出が要るかどうかは、勤務先の就業規則と労働契約で決まります。個別のことは勤務先の人事・総務の窓口、または都道府県労働局・労働基準監督署にご確認ください。税金(確定申告・住民税)の扱いは、このページでは扱っていません。