副業ブログの開業届は必要?|国税庁の案内で確かめる判断の材料と出し方

副業ブログの開業届は必要?|国税庁の案内で確かめる判断の材料と出し方

ブログから少しずつ収入が出てきた。調べると「開業届を出そう」という記事もあれば、「副業なら出さなくていい」という記事もある。出すと何が変わるのか、出さないと困るのか、はっきりしないまま時間だけが過ぎていく。ここはAI所長の副業ブログ研究室。今回は、副業ブログと開業届の関係を、国税庁の公式の説明だけをもとに整理します。

先に結論です。開業届の正式な名前は「個人事業の開業・廃業等届出書」で、対象は「事業所得・不動産所得・山林所得を生ずべき事業」を始めた人です。ブログの収入が「事業所得」にあたるのか、「雑所得」にあたるのかは、国税庁の説明では活動の規模や帳簿の保存などから判断するものとされています。そのため、「副業ブログなら全員が出す」「全員が出さなくてよい」とは言い切れません。この記事では、判断の材料と、確かめる先を並べます。当研究室は税の専門家ではないので、個別の判断はしません。

AI所長

AI所長
税の話は、ネットの記事ごとに言うことが違って、いちばん迷いやすいところです。今日は ①開業届とは何か ②ブログの収入はどの所得か ③青色申告との関係 ④確定申告との関係 ⑤出す前に確かめる5つ ⑥出し方の流れ ⑦やりがちな誤解——この順で見ていきます。
タカシくん(30代・会社員)

タカシくん(30代・会社員)
所長、知り合いに「開業届を出せば節税になるよ」と言われたんですが、本当ですか?
AI所長

AI所長
そこが、いちばん誤解されやすいところなんです、タカシくん。届を出すこと自体と、税金が軽くなる特典は、別の手続きにつながっています。順番にほどいていきましょう。

開業届とは|正式な名前と、出す先・期限

国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」 と 国税庁 タックスアンサーNo.2090「新たに事業を始めたときの届出など」 に書かれている内容を、表にまとめます。

項目 国税庁の案内(要約)
正式な名前 個人事業の開業・廃業等届出書
どんなときに出すか 新たに事業を始めたとき。事業用の事務所の新設・移転・廃止や、事業をやめたときもこの用紙を使う
出す人 新たに事業所得、不動産所得または山林所得を生ずべき事業を始めた人
出す先 納税地を所轄する税務署長
期限 事業を始めた日の属する年分の確定申告期限まで(土日祝なら翌日)
出し方 パソコンの e-Taxソフトで作って e-Tax で出す。書面を作って、持参または送付で出すこともできる
根拠 所得税法第229条
期限は、国税庁のページの「時点」と一緒に確かめる
国税庁のタックスアンサーには、ページの上に「令和8年4月1日現在法令等」のように、いつの法令にもとづく説明かが書かれています。ネットの解説記事やAIの答えは、書かれた時期によって中身が違うことがあります。期限や様式は、出す前に国税庁の今のページで確かめるのが確実です。

ブログの収入は「事業所得」?「雑所得」?

開業届の対象は「事業所得などを生ずべき事業」を始めた人でした。では、副業ブログの広告収入は、どちらにあたるのでしょうか。

国税庁 タックスアンサーNo.1500「雑所得」 では、雑所得の例として「副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)」が挙げられています。一方で 国税庁 タックスアンサーNo.1350「事業所得の課税のしくみ」 は、事業所得を「事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得」と説明しています。副業だから雑所得、と自動で決まるわけではありません。

国税庁の解説にある、判断の考え方

国税庁「雑所得の範囲の取扱いに関する所得税基本通達の解説」(PDF) では、事業所得か「業務に係る雑所得」かは、その所得を得るための活動が、社会通念上、事業と称するに至る程度で行っているかで判定するとされています。そのうえで、帳簿との関係を次のように整理しています。

収入の金額 記帳・帳簿書類の保存あり 記帳・帳簿書類の保存なし
300万円超 概ね事業所得(※) 概ね業務に係る雑所得(事業と認められる事実がある場合を除く)
300万円以下 概ね事業所得(※) 業務に係る雑所得

※の部分には、帳簿を保存していても、次のような場合は事業と認められるかを個別に判断すると書かれています。

個別に判断するとされている例(国税庁の解説より要約)
・収入の金額が僅少と認められる場合(例:例年、300万円以下で、主たる収入に対する割合が10%未満)
・活動に営利性が認められない場合(例:例年赤字で、赤字を解消するための取り組みをしていない)
※「例年」は、おおむね3年程度の期間とされています。
ここだけ覚えておく
国税庁の解説に並んでいる判断の材料は、活動の規模・継続性・帳簿の保存などです。開業届を出したかどうかは、この判断の材料としては挙げられていません。「届を出せば事業所得になる」と読める説明は、公式の解説の書き方とは違う、というのが当研究室の読み方です。
フクさん(50代・会社員)

フクさん(50代・会社員)
うちのブログは、まだ月に数百円です。これは「僅少」ということになるんでしょうか。
AI所長

AI所長
そこを当てはめて判断するのは、税務署や税理士の役目です、フクさん。この記事でできるのは、判断の材料がどこに書いてあるかをお見せするところまで。迷ったときの相談先は、このあと「出す前に確かめる5つ」でまとめますね。

開業届と青色申告は、別の手続き

「開業届を出すと節税になる」と言われるとき、多くは青色申告の特典を指しています。ただ、青色申告は開業届とは別の申請です。

開業届 青色申告の承認申請
用紙の名前 個人事業の開業・廃業等届出書 所得税の青色申告承認申請書
対象 事業所得・不動産所得・山林所得を生ずべき事業を始めた人 事業所得・不動産所得・山林所得を生ずべき業務を行う人のうち、承認を受けたい人
期限 事業を始めた年分の確定申告期限まで 青色申告をしたい年の3月15日まで。その年の1月16日以後に事業を始めた場合は、始めた日から2か月以内
出し方 e-Taxソフト、または書面 e-Taxソフト(WEB版)のマイページなど、または書面

出典は 国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」 と 国税庁「A1-8 所得税の青色申告承認申請手続」 です。さらに 国税庁 タックスアンサーNo.2070「青色申告制度」 では、青色申告ができるのは不動産所得・事業所得・山林所得のある人とされています。つまり、ブログの収入が雑所得にあたる場合は、青色申告の対象になりません。

青色申告の特典には、帳簿の条件がある

国税庁 タックスアンサーNo.2070「青色申告制度」 によると、青色申告特別控除は、正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)で記帳し、貸借対照表と損益計算書を確定申告書に付けて期限までに出した場合に最高55万円、さらに電子帳簿保存か e-Tax での申告をしている場合に最高65万円、それ以外の青色申告者は最高10万円です。帳簿は原則7年間(書類によっては5年間)保存することとされています。

「届を出す=節税」ではない
特典を受けるには、青色申告の承認と、決められた帳簿づけの両方が要ります。開業届だけを出しても、帳簿の手間に見合うかどうかは別に考える必要があります。

確定申告が要るかどうかは、また別の基準

開業届を出したかどうかと、確定申告が必要かどうかは、別の話です。会社員の場合の基準は 国税庁 タックスアンサーNo.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」 にまとまっています。

給与を1か所から受けていて、年末調整を受けている会社員の場合(国税庁の案内より要約)
給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円を超えると、確定申告が必要。
※「所得」は、収入からその収入を得るための必要経費を引いた金額です(国税庁 タックスアンサーNo.1500「雑所得」)。
※給与の年間収入が2,000万円を超える人や、給与を2か所以上から受けている人などは、別の条件があります。

この基準には、開業届を出しているかどうかは出てきません。「届を出していないから申告しなくてよい」「届を出したから申告しなければならない」という関係ではない、と読めます。なお、住民税は国税ではなく、お住まいの市区町村が担当する税金です。住民税の手続きは、市区町村の案内で確かめてください。会社員の副業と税金の考え方は 会社員が“バレずに”副業ブログを始める方法|就業規則・確定申告・匿名運用の考え方 でも扱っています。


出す前に確かめる5つ

ここまでの公式の説明をもとに、出すかどうかを考える前の確認を5つに並べます。並べ方は当研究室の考え方です。

順番 確かめること どこで確かめるか
① 会社の就業規則で、副業や届出がどう扱われているか 自分の会社の就業規則
② ブログの活動が、規模・継続性などから見て「事業」にあたりそうか 国税庁の解説(上の表)。迷えば税務署
③ 帳簿をつけて、保存していけるか 自分の作業時間と道具
④ 青色申告をしたいか。するなら申請の期限はいつか 国税庁「A1-8」
⑤ 自分の場合に当てはめた判断を、誰に聞くか 税務署の相談窓口、または税理士

③帳簿の準備は、届より先に始められる

帳簿をつけるかどうかは、事業所得か雑所得かの判断にも、青色申告の特典にも関わります。収入と支出が生活費と混ざっていると、記録をつけるだけで手間が増えます。ブログ用の口座を分ける理由と手順は 副業ブログの予算管理|事業用の口座を分けたほうがいい3つの理由 にまとめています。始める前にどこにいくらかかるかは 【パソコン込み10万円以内】AIで副業ブログを始める費用ガイド|正直な内訳を全部公開 で整理しています。

⑤相談する先

国税庁の各ページには「国税に関するご相談」への案内があり、税務署の相談窓口が示されています。自分の収入の状況を伝えて聞けるのは、税務署か税理士です。ネットの記事やAIの答えは、一般論の確認までに使います。


出すと決めたら|出し方の流れ

1 国税庁「A1-5」のページで、今の様式と期限を確かめる
2 出し方を選ぶ(e-Tax か、書面の持参・送付か)
3 e-Tax を初めて使う場合は、利用者識別番号を取る
4 記載要領を見ながら書く
5 青色申告もするなら、承認申請書の期限も確かめて、あわせて準備する
6 出したもの(控えや送信の記録)を保存する

国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」 によると、e-Tax で出す場合は本人確認書類の提示や写しの添付は不要で、書面でマイナンバーを書いて出す場合は、そのつど本人確認書類の提示か写しの添付が求められています。

用紙にある主な欄

国税庁が公開している様式(PDF)には、次のような欄があります。書き方の細かいところは、同じページの記載要領で確かめてください。

欄 中身
提出先・提出日 どこの税務署長あてか
氏名・生年月日・マイナンバー 本人の情報
納税地 住所地・居所地・事業所等のどれにするか
職業・屋号 屋号(お店の名前)の欄もある
所得の種類 不動産所得・山林所得・事業(農業)所得から選ぶ
開業日 事業を始めた日
開業に伴う届出書の提出の有無 青色申告承認申請書などを出すかどうか
事業の概要 できるだけ具体的に書く

ブログ名を屋号にするかどうかは自由に考えられますが、ブログで本名を出していない場合は、屋号とブログ名をどう結びつけるかも考えておくと安心です(当研究室の考え方)。匿名で運営するときの考え方は 運営者プロフィールの書き方|匿名でも信頼される自己紹介ページ にあります。


AIの使いどころと、任せないほうがよいところ

作業 AIに任せてよいか 理由
「雑所得」「青色申告」などの言葉を、やさしく説明してもらう 任せてよい 意味をつかむ手助けになる。国税庁のページと照らし合わせる
税務署に聞くことのメモを作ってもらう 任せてよい 聞き漏れを減らせる。中身は自分の状況で埋める
「自分は開業届を出すべきか」を判断してもらう 任せない 個別の判断は税務署や税理士の役目。AIは状況を知らない
期限や金額を答えてもらう 確かめる前提で 古い制度の数字が返ってくることがある。国税庁の今のページで確かめる

AIの答えを確かめる手順は AIが書いた記事の事実確認|間違いを見つける4つの手順 で扱っています。


やりがちな誤解、5つ

誤解①|開業届を出せば、それだけで節税になる
特典は青色申告の承認と帳簿の条件がそろってからの話です。届は入口の1枚にすぎません。
誤解②|開業届を出せば、事業所得になる
国税庁の解説では、事業かどうかは活動の規模や帳簿の保存などで判断するとされています。
誤解③|開業届を出していないから、確定申告は要らない
申告が必要かどうかは、所得の金額などの別の基準で決まります。
誤解④|ネットで見た期限を、そのまま信じる
制度や様式は変わることがあります。国税庁のページの「時点」の表示と一緒に確かめます。
誤解⑤|ブログの収入は、いつ届を出しても同じ扱い
青色申告の承認申請には期限があります。青色申告を考えるなら、開業届とあわせて期限を確かめます。

よくある疑問(Q&A)

Q1. まだ収益が0円でも、開業届は出せますか?

国税庁の案内では、開業届は「事業を始めたとき」に出すものとされています。ブログの活動がその「事業」にあたるかどうかは、活動の中身で判断されるものなので、当研究室からは「出すべき」「出さなくてよい」とは言えません。収益が出る前に考えておきたい準備は ブログ副業は会社にバレる?バレる原因と、バレずに始める方法 のQ&Aでも触れています。

Q2. 出したあとで、やめたくなったらどうなりますか?

同じ「個人事業の開業・廃業等届出書」が、事業をやめたときの手続きにも使われます。国税庁の案内では、事業をやめる人で青色申告をやめる場合は「青色申告の取りやめ届出書」も出すよう書かれています。

Q3. 屋号付きの口座を作らないといけませんか?

開業届の案内には、口座についての決まりは出てきません。口座の分け方は 副業ブログの予算管理|事業用の口座を分けたほうがいい3つの理由 のQ2で扱っています。

Q4. 期限を過ぎてしまったら?

期限を過ぎた場合の扱いは、国税庁の「A1-5」のページには書かれていません。推測で動かず、税務署の相談窓口で確かめるのが確実です。

Q5. アフィリエイトやアドセンスの収入でも、同じ考え方ですか?

国税庁の説明は収入の種類ごとではなく、活動が事業にあたるかどうかで整理されています。収入の入口になるしくみそのものは ASPとは?副業ブログの収益化の入口と、最初に登録する1社の選び方 と Googleアドセンスの審査に落ちる理由|申請前に整える7つのチェック で扱っています。


まとめ:届を出すかより先に、判断の材料をそろえる

・開業届の正式な名前は「個人事業の開業・廃業等届出書」。対象は事業所得などを生ずべき事業を始めた人。
・期限は国税庁の今の案内では事業を始めた年分の確定申告期限まで。ページの「時点」と一緒に確かめる。
・ブログの収入が事業所得か雑所得かは、活動の規模や帳簿の保存などで判断される。届を出したかどうかは判断の材料に挙げられていない。
・青色申告は別の申請。対象は事業所得などがある人で、特典には帳簿の条件がある。
・確定申告が要るかどうかも別の基準(会社員なら給与以外の所得が20万円を超えるか、など)。
・自分の場合の判断は、税務署か税理士に聞く。AIやネットの記事は一般論の確認まで。

税の手続きは、読み比べるほど迷いが増えやすい分野です。迷ったら、国税庁のページを開いて、時点を確かめ、自分の場合は税務署に聞く——この順番を守るのが、遠回りに見えていちばん確かです。

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参考(国税庁の公式の説明):国税庁 タックスアンサーNo.2090「新たに事業を始めたときの届出など」/国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」/国税庁「A1-8 所得税の青色申告承認申請手続」/国税庁 タックスアンサーNo.2070「青色申告制度」/国税庁 タックスアンサーNo.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」/国税庁 タックスアンサーNo.1500「雑所得」/国税庁 タックスアンサーNo.1350「事業所得の課税のしくみ」/国税庁「雑所得の範囲の取扱いに関する所得税基本通達の解説」(PDF)


【免責】本記事は、国税庁の公式サイト(2026年10月時点で確認したもの。各ページには「令和8年4月1日現在法令等」などの時点が書かれています)をもとにした一般的な整理で、個別の税務判断をするものではありません。開業届を出すべきかどうか、ブログの収入がどの所得にあたるか、申告が必要かどうかは、一人ひとりの状況によって変わります。ご自身の場合については、税務署の相談窓口や税理士にご確認ください。制度や様式、期限は改正されることがあります。最新の情報は、国税庁の公式サイトでご確認ください。