生成AIに入力しないほうがよい情報|個人情報保護委員会の注意喚起で確かめる

生成AIに入力しないほうがよい情報|個人情報保護委員会の注意喚起で確かめる

ブログの作業に生成AIを使うようになると、迷う場面が出てきます。「お問い合わせのメールを要約してもらいたい」「コメントへの返事の下書きを作りたい」「自分のプロフィール文を整えたい」——そのとき、メールの文面や住所をそのまま貼ってよいのかという迷いです。ここはAI所長の副業ブログ研究室。今回は、個人情報保護委員会の注意喚起と、各AIサービスの公式の案内をもとに、生成AIに入力しないほうがよい情報を整理します。

先に結論です。個人情報保護委員会は、一般の利用者に向けて、入力した個人情報が機械学習に使われることがある、答えに不正確な内容が含まれることがある、利用規約やプライバシーポリシーを確かめる、という3つの留意点を示しています。ブログの作業では、他人の個人情報・自分の身元・ログイン情報は貼らず、貼る前に消す・設定を見る・出力を確かめるの3つを習慣にするのが、公式の説明に沿った進め方です(当研究室の考え方)。

タカシくん(30代・会社員)

タカシくん(30代・会社員)
所長、問い合わせのメールを AI に要約させると楽なんです。名前もメールアドレスも入ったまま貼っていました……。
AI所長

AI所長
楽なのは確かですね、タカシくん。ただ、そのメールの中身は、送ってくれた読者の情報です。まずは、公的な機関が何と言っているかを確かめてから、どこを消せばよいかを一緒に見ていきましょう。

個人情報保護委員会の注意喚起とは

個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」 は、個人情報保護委員会が令和5年(2023年)6月2日に出した注意喚起の案内です。ページには2つの資料が付いていて、別添1「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(PDF・令和5年6月2日) が利用する側への注意点、別添2 が ChatGPT を提供する事業者への注意喚起の概要です。

別添1は、読む人の立場ごとに3つに分かれています。

区分 だれに向けたものか 書かれていることの要点
(1) 個人情報取扱事業者 個人情報を含む指示文(プロンプト)を入れるときは、利用目的の範囲内かを十分に確かめる。本人の同意なく入れる場合は、AIの事業者がそのデータを機械学習に使わないことなどを十分に確かめる
(2) 行政機関等 (1)とほぼ同じ内容を、行政機関向けの言葉で示したもの
(3) 一般の利用者 入力した個人情報が学習に使われ、不正確な形で出力されるリスク/答えに不正確な個人情報が含まれるリスク/利用規約やプライバシーポリシーを確かめる
副業ブログの運営者が(1)の「個人情報取扱事業者」に当たるかどうかは、この記事では判断しません。気になる場合は、個人情報保護委員会の案内や相談窓口で確かめてください。この記事は、だれにでも当てはまる(3)一般の利用者への留意点を中心に整理します。

一般の利用者への3つの留意点

別添1の(3)には、次の3つが書かれています。言い回しは、当研究室で要点をまとめたものです。

番号 留意点(要点) ブログの作業に置きかえると(当研究室の考え方)
① 入力した個人情報が、生成AIの機械学習に使われることがある。ほかの情報と統計的に結びつき、正確または不正確な内容で出力されるリスクがある 読者のメールや自分の住所を貼ると、自分の手を離れた先で使われる可能性がある、と考えておく
② 答えには不正確な内容が含まれることがある。文章は確率的な関係にもとづいて作られるため、不正確な個人情報が含まれるリスクがある AIが書いた人物の紹介や経歴を、確かめずに記事に載せない
③ AIサービスの利用規約やプライバシーポリシーなどを十分に確かめ、入力する情報の内容をふまえて利用を判断する 使うサービスの「データの使われ方」と設定を、使い始める前に一度読む

3つとも、「入力してはいけない」と言い切ってはいません。書かれているのは、リスクを知ったうえで、入力する内容を自分で判断するということです。そのための材料として、次に各AIサービスが自分のページで何と書いているかを見ます。

フクさん(50代・会社員)

フクさん(50代・会社員)
「判断してください」と言われても、何を基準にすればよいのか、わたしには難しいです。
AI所長

AI所長
そうですよね、フクさん。うれしいことに、AIサービスの側も、入力しないでほしい情報を自分のページに書いています。その言葉を基準にすると、判断がずっと楽になります。

AIサービスの公式ページにも「入力しないで」と書いてある

Google「Gemini アプリのプライバシー ハブ」 には、人間のレビュアーが集めたデータの一部を確認することがあるため、レビュアーに見られたくない機密情報や、サービスの改良に使われたくない機密情報は入力しないでください、という趣旨の案内があります。同じページには、学習やレビューに使われないようにするための設定([アクティビティの保存])や、一時チャットの説明も載っています。

OpenAI ヘルプセンター「ChatGPT のデータ管理」 には、「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにしたあとでも、回答に「いいね」「よくないね」などのフィードバックを送ると、その会話全体がモデルの学習に使われることがある、と書かれています。

Anthropic プライバシーセンター「モデル改善のプライバシー設定を変更するにはどうすればよいですか?」 には、Claude でモデルの改善への利用をオフにしても、すでに始まっている学習や、すでに学習を終えたモデルにはデータが含まれる、という説明があります。

3つのページに共通しているのは、設定をオフにすれば何でも安全という書き方はしていない、という点です。設定は大切ですが、いちばん確かなのははじめから入力しないことです(当研究室の考え方)。

各サービスの学習の設定の名前と場所は、サービスごとに違います。この記事の後半の「入力する前の3つの確認」で、名前だけまとめます。


ブログ作業で入力しないほうがよい情報の例

ここからは、委員会の留意点と各サービスの案内をもとにした、当研究室の考え方です。副業ブログの作業でよく出てくる情報を、入力しないほうがよいものと、その代わりの方法に分けました。

種類 具体的な例 代わりの方法
読者・問い合わせ相手の個人情報 お問い合わせフォームのメールの名前・メールアドレス・本文、コメント欄に書かれた名前や連絡先 名前や連絡先を消し、「Aさん」などに置きかえて、相談の要点だけを入れる
自分の身元が分かる情報 本名・住所・電話番号・勤務先・顔が写った写真 プロフィール文は、ブログで公開している名前と内容だけで作る
ログイン情報・鍵 WordPress のパスワード、アプリケーションパスワード、サーバーやASPのログイン情報、APIキー 入力しない。画面の写真(スクリーンショット)を貼るときも、写っていないか先に確かめる
勤務先の未公開の情報 会社の資料、取引先の名前、社内の数字 会社のルールを先に確かめる。この記事では可否を判断しない
他人に知られたくない事情 家族の病気、トラブルの相手の実名など 記事にするかどうかを決める前に、AIに入れるかどうかも同じ重さで考える

自分の身元を出さずにブログを続ける考え方は 会社員が“バレずに”副業ブログを始める方法|就業規則・確定申告・匿名運用の考え方 にまとめました。AIに入れる情報の扱いも、ブログに出す情報と同じ線で考えると迷いが減ります。

タカシくん(30代・会社員)

タカシくん(30代・会社員)
APIキーまで貼りそうになったことがあります。エラーの文面ごとコピーしたら、中に入っていて……。
AI所長

AI所長
エラーの文面や設定ファイルは、鍵が混ざりやすいところです。貼る前に、英数字の長い並びが入っていないかを目で追う。それだけでも防げることが多いですよ。

貼る前の書きかえの例

お問い合わせのメールを要約してもらう場面を例に、貼る前にどこを書きかえるかを示します。下の文面は、この記事のために作った架空の例です。

そのまま貼った場合 書きかえてから貼る場合
差出人 山田花子(yamada@example.com) 読者のAさん
本文 「横浜市○○区に住んでいて、△△社に勤めています。記事の手順でサーバーの契約をしたのですが……」 「記事の手順でサーバーの契約をしたが、途中の画面が記事と違って進めない、という相談」
AIへの頼み方 「このメールに返信して」 「この相談の要点に、ていねいに答える返信の下書きを作って。名前は入れないで」

書きかえたあとでも、返事の下書きを作るのに困ることはありません。AIが作った下書きに、最後に人の手で宛名を入れれば、読者の名前や住所は一度もAIに渡さずに済みます(当研究室の考え方)。返事の文面を考えるときの指示文の書き方は、ブログ用AIプロンプト集【コピペで使える】初心者向けの指示文テンプレートまとめ も参考になります。

フクさん(50代・会社員)

フクさん(50代・会社員)
名前を消すだけなら、わたしにもできそうです。
AI所長

AI所長
はい、フクさん。特別な道具は要りません。貼る前に、名前・連絡先・住所・勤務先の4つを探して消す。それだけで、多くの心配は小さくなります。

入力する前の3つの確認

委員会の3つの留意点を、作業の手順に置きかえました(当研究室の考え方)。

確認1. 消す|名前・連絡先・鍵を外してから貼る

問い合わせの要約やコメントへの返事の下書きは、だれが書いたかが分からなくても作れます。名前・メールアドレス・電話番号・住所を消し、「Aさん」「読者の方」に置きかえます。エラーの文面や設定の画面は、パスワードやキーが混ざっていないかを確かめます。

確認2. 設定を見る|学習と履歴の設定の名前を知っておく

2026年10月30日に各社の公式ヘルプで確かめた、学習にかかわる設定の名前です。

サービス 学習にかかわる設定の名前(公式ヘルプの表記) 記録を残しにくい使い方
ChatGPT 「すべての人のためにモデルを改善する」(設定 → データコントロール) 一時チャット
Gemini [アクティビティの保存]([設定とヘルプ] → [アクティビティ]) 一時チャット
Claude 「AIモデルの改善を支援する」(設定 → プライバシー) シークレットチャット

ただし、設定をオフにしたり一時的なチャットを使ったりしても、会話がすぐに消えるわけではないことが、各社のページから読み取れます(Gemini は [アクティビティの保存] がオフでも72時間、ChatGPT の一時チャットは最大30日、Claude は削除したチャットが30日以内にバックエンドから削除)。だからこそ、確認1の「消す」を先にします。

確認3. 出力を確かめる|人について書かれた部分はとくに

留意点の②のとおり、答えには不正確な内容が混ざることがあります。人物の経歴、会社の情報、数字は、公式の情報で確かめてから使います。確かめ方は AIが書いた記事の事実確認|間違いを見つける4つの手順 にまとめました。


よくある質問

Q1. 学習の設定をオフにすれば、何を入れても大丈夫ですか?

各社の公式ページは、そうは書いていません。Google「Gemini アプリのプライバシー ハブ」 には、[アクティビティの保存] がオフでも、応答や保護のために会話を72時間保存すると書かれています。OpenAI ヘルプセンター「ChatGPT のデータ管理」 には、一時チャットも安全上の理由から最大30日間保持される場合がある、とあります。設定は「学習に使われにくくする」もので、「入力した情報が残らない」ことまでは約束していません。

Q2. 有料のプランなら、入力してもよいのですか?

プランや契約の種類によって扱いが違う、と書いているサービスはあります(たとえば ChatGPT の Business などの仕事向けのワークスペースは、既定で学習に使わない、など)。ただ、この記事ではプランの比較はしません。使っているプランのページで、データの扱いを確かめてください。

Q3. 読者からのメールを AI で要約するのは、だめなのですか?

委員会の留意点は「だめ」とは言っていません。リスクをふまえて判断する、という書き方です。当研究室では、名前や連絡先を消してから、要点だけを入れる形をおすすめしています。問い合わせで受け取る情報の扱いをどうブログで説明するかは、ブログのプライバシーポリシーの書き方|何を書くか、8つの項目 を参考にしてください。

Q4. 自分の情報なら、入れてもかまいませんか?

委員会の留意点の①は、入力した個人情報が学習に使われ、ほかの情報と結びついて出力されるリスクを示しています。これは自分の情報でも同じです。ブログを匿名で続けている場合は、本名や住所をAIに入れないほうが、身元を守る考え方と合っています(当研究室の考え方)。

Q5. 2023年の注意喚起は、いまも読む価値がありますか?

2026年10月30日の時点で、委員会のページは公開されたままで、別添1も開けます。一般の利用者への3つの留意点は、特定のサービスの機能に依存しない内容なので、いまのAIサービスにもそのまま当てはめられます(当研究室の考え方)。


まとめ:迷ったら「消してから貼る」

・個人情報保護委員会は、一般の利用者に3つの留意点を示している(学習に使われるリスク/不正確な答え/規約とポリシーの確認)。
・AIサービスの公式ページにも、見られたくない機密情報は入力しないよう案内がある。
・学習の設定をオフにしても、会話がすぐに消えるわけではない。フィードバックを送ると会話が使われることもある。
・ブログの作業では、他人の個人情報・自分の身元・ログイン情報は入れない。
・貼る前に消す・設定を見る・出力を確かめるの3つ。

生成AIは、ブログの作業を大きく軽くしてくれる道具です。だからこそ、読者から預かった情報を守るところだけは、人の側で線を引いておきたいところです。まずは、次に AI に貼ろうとしている文章から、名前と連絡先を消すところから始めてみてください。

▶ AIでの記事づくりの全体は AIで記事を書く方法|構成・執筆・リライトのプロンプト集【非エンジニア向け】、個人情報を入れずに使える指示文は ブログ用AIプロンプト集【コピペで使える】初心者向けの指示文テンプレートまとめ、各サービスの学習の設定は AIに会話を学習させない設定|ChatGPT・Gemini・Claude・Copilotを公式ヘルプで確かめる をどうぞ。

参考(公式の説明):個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」/別添1「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(PDF・令和5年6月2日)/Google「Gemini アプリのプライバシー ハブ」/OpenAI ヘルプセンター「ChatGPT のデータ管理」/Anthropic プライバシーセンター「モデル改善のプライバシー設定を変更するにはどうすればよいですか?」


【免責】本記事は、個人情報保護委員会の注意喚起と、各AIサービスの公式のヘルプ(いずれも2026年10月30日に確認したもの)をもとにした一般的な整理です。個人情報保護法などの法令の解釈や、個別の状況での判断を示すものではありません。各サービスの設定の名前や画面は変わることがあります。最新の内容は公式のページでご確認ください。「入力しないほうがよい情報の例」と「入力する前の確認」は、当研究室の考え方です。